平屋で注文住宅を建てる際、間取り作りで悩む人は大変多いと思います。
「何を基準に間取りを考えればよいのか」「誰に相談したらよいのか」など、二階建てとは違い、わからないことが多いのではないでしょうか。
あなたがもし、平屋住宅を検討しているのであれば、どうかこの記事を読み進めてみてください。
なぜならば、平屋住宅の間取り作りのコツを知らないために、大きな失敗と後悔をしている人が後を絶たないからです。
そうならないためにも、平屋住宅の間取りの失敗例を知ることは大切です。
このページでは、平屋住宅で失敗しないための注意点と成功のコツを解説します。
■目次
平屋住宅で失敗する間取り例と注意点
1.共有スペースとプライベートゾーンが近すぎる平屋の間取り
平屋住宅を建てる際、共有スペースとプライベートゾーンが近すぎる間取りを設計してはいけません。
なぜなら、共有スペースとプライベートゾーンが近すぎると、プライベートゾーンでの安心感や心地よさを得られなくなるからです。ちなみに共有スペースとは、リビングやダイニング・洗面スペースなど家族が共有する場所を指します。
例えば、共有スペースである洗面所に隣接して夫婦の寝室の入り口があったとしたらどうでしょう。代わる代わる家族が洗面所に出入りし、身支度をしたり、お風呂に入るなど、常に騒がしい空間のとなりに夫婦寝室があれば、プライベートで安らぐ部屋ではなくなってしまいます。部屋として隣り合ってしまうのは建物の広さに制限があるため、仕方のないことですが、出入り口の場所は特に注意しなければなりません。
また例えば、仕事をするための書斎を、動きやすいという理由でリビングの一角にとってしまった場合はどうでしょうか。ほとんどのケースで、子供の遊び場に利用され、おもちゃを置かれたり、物を散らかされたりなど、書斎スペースとしての機能を果たせなくなる可能性が高くなります。
整理整頓ができない平屋住宅の特徴は、便利さを求めすぎてリビングなどの共有スペースで生活を完結させようとしてしまうことです。つまり、何かと動きやすいという理由で、リビングなどの共有スペースにて何でも対応できるようにしてしまうと、「物」がリビングに集まってしまうのです。そうならないためにも、オンオフを切り替え、必要な物は必要な部屋で使うという習慣を定着させることにしましょう。そうすることで、共有スペースに物があふれることなく、自然と整理整頓がしやすい家となるでしょう。
そのため、子供部屋、夫婦寝室、書斎、趣味の部屋などはある程度の距離感を持って独立した空間にすることが必要です。
よって共有スペースとプライベートゾーンを近すぎないようにすることが、平屋住宅の間取りの成功のコツとなります。
2.部屋を細かく仕切った平屋の間取り
平屋住宅を建てる際、出来るだけ部屋を細かく仕切った間取りは避けるようにしましょう。なぜなら、全体としての空間は狭い印象になってしまうからです。
例えば、ダイニング6帖とリビング8帖の間に扉を設けて隠したいと希望する方がいます。合わせて14帖あるスペースなのですが、実際に立体的に仕上がった場合には、6帖と8帖は個々の部屋の広さにしか感じられないため、14帖の広がりに感じることはありません。住まいの一番の見せどころはキッチン・ダイニング・リビングの大空間です。ひとつながりの空間とすることで、無駄な扉の開閉動作が無くなります。また、移動の際には最短距離で動くことができるでしょう。
また、部屋を細かく仕切ることは、建築費への増加にも繋がります。四角の箱を想像してください。箱の中は何も仕切られていない場合、内側の壁の面積は四方向だけです。しかし、この箱の中が迷路のように仕切られていたらどうでしょうか。壁の面積は仕切られた壁の数だけ増えていきます。平屋住宅の場合、この壁にそれぞれ建具も加わります。簡潔なプランは建築費コスト削減の定番です。よって部屋を細かく仕切った間取りは避けましょう。
3.ライフスタイルの変化に対応できない平屋の間取り
家族のライフスタイルの変化に対応できない平屋の間取りも、失敗の典型例です。なぜなら、将来、家族構成に変化があっても、容易には部屋の仕様を変更することができなくなるからです。そのため、将来、大掛かりなリフォームを行わなければならなくなります。
例えば、夫婦と子供3人の5人家族の場合、最初から子供部屋を3部屋ずつ別に確保する間取りはおすすめできません。最初から個室にしてしまうと、後々利用できない部屋となってしまう恐れもあるからです。そして何より、坪数が増加してしまい、建築費の負担となります。
最初から間仕切りをせずフリールームとして、子供たちの成長にあわせて家具で仕切りながら、最終的に間仕切り壁で個室にしていく方法を検討してみましょう。
4.主婦の動線を無視した平屋の間取り
住まいの動線はとても重要です。特に、主婦動線が考慮されていない間取りをしてはいけません。一番動き回る主婦の家事動線が悪い平屋の間取りは、家事の効率を妨げるばかりではなく、片付か居ない家にもなりやすいからです。
例えば、主婦はキッチンで長時間作業をしながら、その合間に洗濯を干したり畳んだり、お風呂の掃除をしたりと「ながら作業」をする機会が多くなります。キッチンから洗濯場への移動、キッチンからお風呂場の移動がスムーズに行われない、移動途中に扉が何カ所も発生するなど動線上に障害物があると、作業効率は格段に下がってしまいます。よって、家事動線を無視した平屋の間取りはやめましょう。
5.高齢者とコミュニケーションのとれない平屋の間取り
二世帯住宅の平屋の場合で、祖父・祖母など高齢者の部屋を間取りに取り入れるときには、コミュニケーションのとれない場所への配置をしてはいけません。なぜなら、健康のことで気配りができないことや、高齢者同士のコミュニケーションを狭くしてしまうこともあるからです。
例えば、高齢者の部屋をリビングなどの共有スペースからあまりにも離れた間取りにすると、体調などの様子がわからなくなってしまいますし、高齢者が気軽に訪れられなくなるからです。
よって、高齢者がいる家庭では、家族とのコミュニケーションが計りやすい平屋の間取り設計になるようにしましょう。
6.通風と採光計画が考えられていない平屋の間取り
住まいの中で「通風」と「採光計画」が考えられていない平屋の間取りを設計してはいけません。風の通り道や、季節や時間ごとの太陽の当たり加減は、想像以上に住まいの快適さを左右するからです。
例えば、同じ南側に2箇所の窓を設けたとしてます。しかし、入ってきた風は室内で止まってしまい別の南側の窓からスムーズに抜けてはいきません。
その一方で、南側にひとつ、その向かい側の北側にひとつ窓を設けると、風はスムーズに抜けていき、夏場なら爽やかさを感じるでしょう。採光計画であれば、西日のキツイ西側の窓は極力小さくし、室内の温度上昇を抑えます。
通風・採光計画は、温度や明るさといった室内環境に想像以上に影響を及ぼしますので、よく計画をして平屋の間取りを設計してもらうようにしましょう。
7.親が子どもを自然に管理できない平屋の間取り
親が子供を管理しづらい子供部屋の間取りを設計はしてはいけません。なぜなら、子どもは、意図的に何をしているかを確認されることを嫌うため、小さいうちから、子供部屋がオープンになっているほうが望ましいからです。
例えば、子供部屋の入口のドアは、開けても中が全く見えない方向にあったり、子供部屋が親と別の階層にあるなどの場合は、子供が何をしているか様子がわかりません。別の階層に部屋がある場合は、在宅か外出しているかもわからない場合もあるのです。
そうならないためにも。親と子ども部屋とが近い場所にあるという間取りにしましょう。いつまでも親子の仲を良好に保つコツは、お互いのプライバシーは守られながらも「コミュニケーション」が取れる距離感です。
8.頻繁に行き来する場所が離れている平屋の間取り
頻繁に行き来する部屋が離れてしまう平屋の間取りはよくありません。移動が頻繁に続くと、ストレスを感じてしまうからです。
例えば、家の中で頻繁に移動することが多いのは「トイレ」です。1日家にいる場合、多ければ4回、5回とトイレに行くことは珍しくありません。トイレをリビング空間の近くに配置すると音の問題もあるためによく検討する必要はありますが、反対に離れすぎた場所にあると、不便さを感じることになります。
よって、家で快適に過ごすためにも、頻繁に行き来する場所が離れてしまう平屋の間取りはやめましょう。
9.人がぶつかりやすい平屋の間取り
家族が移動するときにぶつかりやすい平屋の間取りはいけません。なぜなら、自然体での動きに対して少し無理な姿勢をとるような平屋の間取りは、暮らしやすいとは言えないからです。なお、ぶつかりやすい間取りとは、空間としての広さという面と、動線の面というふたつが考えられます。
例えば、空間の広さとしては、リビング・ダイニングが良い例でしょう。大型の家具を配置する予定でいても、部屋のスペースはその家具を置く想定になっていない場合、歩くスペースが限られ、家具をよけながらの動線になってしまいます。つまり、家具の選定を空間の広さがマッチしていないのです。
また、動線でぶつかりやすい例は、間取りの中でクランクする場所が多い場合です。要望を叶えるために無理な間取りをすると、このようにクランク箇所が多発することがあり、非常に動線が悪い間取りになります。よって、人がぶつかりやすい平屋の間取りは避けましょう。
まとめ
いかがだったでしょうか。
平屋住宅で注文住宅を建てる際は、間取りの失敗例から問題点を探り、プランニングを行うことが大切であることがわかったかと思います。
また分からない点があれば、一度資料を取り寄せるなどして、実際に専門家へ相談をしてみることをお勧めいたします。